赤外線画像の浮き???
外壁赤外線調査においての浮き
1.赤外線カメラで外壁の浮きは本当にわかる??
9月に外壁タイルの赤外線調査をした2つの建物で同じくらいの温度差があったのにも関わらず
「浮いている」タイルと「浮いていない」タイルの判例がありました。
まずこちらの□で囲んでおります範囲は周辺部に比べ高温となっており、タイルが浮いている可能性が高いです。
そもそもタイルが浮いていると下地とタイルの間に、もしくは躯体と下地の間に空気層ができ、空気層によって熱が内部に伝わり難くなり、その結果タイルに熱が滞留し、タイルの表面温度は周辺正常部(タイルが浮いていない部分)より高温になり、タイルが浮いている可能性が高い。という判断となります。
こちらの画像の高温の2つの□の箇所の外壁打診調査を行った結果「タイルの下地浮き」が確認できました。
それではこちらの画像ではどうでしょうか???
こちらの画像も〇で囲んでいる範囲と周辺部と温度差がでています。
そこで確認のため、打診棒にて打診調査を行ってみましたが高温の温度分布が認められた箇所のタイルは全く浮いておりませんでした。
建物を管理しているご担当者の方が現場に来ておられたので、伺ってみたところ
その部分は過去に外壁タイルの補修工事を行い、その時にタイルの表面に保護塗料を塗布したとの事で、
その塗料材が原因で、赤外線画像が高温になっている、と言うことが判明しました。
外壁赤外線調査の浮きの判別
1.赤外線カメラを使えば誰でも浮きがわかるのか
赤外線調査の場合、温度の差異で浮きかどうかの判断をいたしますが、このように高温部分が必ずしも浮いているとは限りません。
高温=浮き ではありません。
ではどのように浮きの可能性があると判別していくかと言いますと、経験と知識と洞察力が必要となってきます。
・経験は様々な外壁仕上げの赤外線調査をして、何百という建物の撮影をこなしてきたかどうかです。
・知識とは赤外線カメラ(熱科学、放射科学)の知識があるかどうかです。
・洞察力とは鋭く観察し高温になり得る他の原因を考えられるかどうかです。
今回の場合、保護塗料を塗布した為、補修工事をしていないタイルに比べ、艶(テカリ)がありました。
それを観察していたら高温になっている「浮き」以外の原因が考えられました。
その他にもタイルが汚れている、エフロレッセンスが付着している、反射熱で高温になっている事など様々な要因でタイルが高温を示している事があります。
撮影する角度によっても、放射率がかわり浮きを見落とす可能性もあります。
現地で赤外線カメラを撮影する際にはそれらを洞察しながら撮影する事を心がけなければいけません。
この様に赤外線のデメリットのひつとしては仮設足場や高所作業車からの全面打診調査に比べては正確性が劣ってしまいますが
弊社では精度をより上げる為に地上より手の届く範囲で打診調査を併用して行っております。
また赤外線調査での精度をより高いものにする為に日々赤外線診断の経験を積み、より良い外壁調査報告書をお渡しさせて頂く事を肝に銘じて業務に取り組んでおります。