マンション大規模修繕の費用相場|費用を抑える方法や払えないときの対処法

マンションの大規模修繕は、一戸あたりの平均負担額が100万円前後の費用がかかる高額な工事です。
外壁塗装のみの場合は50万円程度ですが、設備の取り替えや耐震工事まで行うと200万円以上の負担になることもあります。
定期的な修繕は建物の安全性と資産価値を維持するために必要不可欠です。
2回目以降の修繕費は初回よりも高額になる傾向にあるため、長期的な修繕計画を立てて計画的に積立金を用意しておくことが重要です。
この記事では、マンションの大規模修繕にかかる費用の相場や内訳、これまでの常識と考えられてきた仮設足場を使用しない工法をする事で仮設費用を抑えた方法について解説します。
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マンション大規模修繕にかかる費用の目安
マンションの大規模修繕には、一般的に全体で数千万円から数億円の費用がかかります。中央値だと、7,600万円〜8,700万円程度です。
修繕積立金の額や工事の内容にもよりますが、一戸あたりの平均負担額は100万円前後になるケースが多い傾向にあります。
国土交通省が発表した「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、半分以上の物件で一戸あたり75万円以上の費用を負担しています。
※昨今のインフレ、建築資材の高騰で今後もさらに負担が大きくなると予想されます。
ただし、これらの費用はあくまで目安であり、マンションの規模や築年数、修繕箇所によって大きく変動します。
例えば、外壁塗装のみの工事であれば一戸あたり50万円程度で済む一方で、設備の取り替えや耐震工事まで実施する場合は200万円以上の負担になることもあるのです。
そのため、大規模修繕の費用を正確に把握するには、専門家による診断や見積もりが求められます。
長期修繕計画を策定し、計画的に修繕積立金を積み立てておくことで、急な出費を避けることができるでしょう。
【工事別】マンション大規模修繕の費用
マンション大規模修繕の費用は、工事の種類によってそれぞれ異なります。ここでは、大規模修繕でよく行われる主な工事内容とその費用について解説します。
防水工事
防水工事とは、マンションの屋上や外壁、バルコニーなどに施す雨漏り対策工事のことです。
経年劣化により防水機能が低下すると、建物内部への水の侵入や鉄筋の腐食などにつながるため、大規模修繕でメンテナンスする必要があります。
防水工事の費用は、マンションの規模や施工箇所、使用する材料によっても異なりますが、㎡単価で4,000〜7,000円程度です。
種類 | 費用の目安(㎡単価) |
---|---|
シート防水 | 4,000〜7,000円 |
アスファルト防水 | 4,500〜7,000円 |
ウレタン防水 | 5,000〜6,000円 |
FRP防水 | 5,000〜7,000円 |
目的や状況によって適切な種類は異なるため、施工業者とよく話し合った上で選択することをおすすめします。
外壁工事
マンションの外壁工事では、主にタイル張りや塗装による補修や改修が行われます。
建物の美観を維持するだけでなく、外壁タイルの浮きや亀裂の防止に寄与するため、できるだけ早期の対応が求められます。
外壁塗装の費用は、使用する塗料の種類や耐用年数によって異なり、㎡単価で1,500〜4,500円前後が相場です。
高級塗料を使用したり、付帯部分の塗装も行ったりする場合は、全体で70万円以上の費用がかかる場合もあります。
一方、タイル張りの外壁補修工事の場合は、高額になる傾向がありますが補修工法により同じ仕上がりで費用だけ下げる事ができます。
それはこれまで常識とされてきた仮設足場を用いた工法ではなく、ロープアクセス工法を選択する事で外壁タイル面の調査~補修工事までが可能となります。
「工事内容を見直す」で詳しく記述致します。
仮設工事
大規模修繕で足場を組む際には、仮設工事が必要です。この工事は、施工に必要な資材や機材を現場に運び込み、足場を設置するための基礎工事のことを指します。
仮設工事の費用は、マンションの高さや周囲の状況によって大きく変わります。
一般的に、大規模マンションでは3,000〜5,000万円程度、小・中規模マンションでは500〜800万円程度が目安です。
仮設工事は工期や職人の人件費も含まれるため、予算の中で大きな割合を占めることも少なくありません。
国土交通省が発表した「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によれば、大規模修繕工事における仮設工事費の割合は全体の22.8%とされています。
マンションの構造上、足場の設置が難しいケースでは、ゴンドラやローリングタワーの使用を検討する必要もあります。
設備工事
マンションの設備工事では、共用部分の給排水管や電気設備、エレベーターなどの更新や修繕を行います。
一般的に設備の寿命は20年から30年ほどであるため、築30年以上の古いマンションでは設備工事が不可欠です。
設備工事の費用は、各設備の種類や規模によって大きく変動します。
例えば、給排水管の修繕では一戸あたり30〜50万円、エレベーターの取り替えでは100万円以上の費用がかかるケースもあります。
電気設備の更新では、分電盤や幹線ケーブルの取り替えに一戸あたり10〜20万円程度の費用が必要です。
このように、大規模修繕における設備工事の費用負担は小さくありません。長期修繕計画に基づいて計画的に積立金を積み立てておくことが重要です。
マンション大規模修繕の2回目・3回目の費用
マンションの大規模修繕は、通常12年から16年ごとに行われます。2回目以降の修繕費は、初回よりも高くなる傾向があります。
その理由は、建物の経年劣化が進行し、より多くの箇所に手を加える必要があるためです。
例えば、2回目の大規模修繕では外壁塗装だけでなく、防水工事やバルコニー、屋上の手すりなどの補修も必要になることがあります。
3回目ともなると、給排水管やエレベーターなどの設備類の更新も視野に入れなければなりません。
つまり、一般的には大規模修繕の回数を重ねるたびに工事の範囲が広がり、それに伴い工事費用も高額になる傾向があるのです。
目安としては、2回目は初回に比べて修繕費が2割増、3回目は2回目に比べて2〜3割増になることが多い傾向にあります。
特に築年数が古いマンションほど、2回目以降は高額になりやすいため注意が必要です。
マンション大規模修繕の費用を抑える方法
マンションの大規模修繕は多額の費用がかかるため、できるだけ支出を抑えたいものです。ここでは、修繕費を節約するためのポイントを5つ紹介します。
アフターサービスを利用する
大規模修繕の施工会社の中には、工事後のアフターサービスを提供しているところがあります。
例えば、外壁塗装の色あせや剥がれ、防水工事の不具合などが一定期間内に発生した場合、無償で補修してくれるサービスです。
また、工事してから長期間経過した場合でも、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に対応し、構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分について保証されるケースもあります。
このようなアフターサービスを活用することで、将来的な修繕費を抑えることが可能です。
ただし、アフターサービスの内容や期間は施工会社によって異なるため、契約前に確認しておく必要があります。
施工会社を比較検討する
大規模修繕の費用を抑える上で、施工会社を十分に比較検討することは重要なポイントといえます。
おおよその相場を把握し、コストパフォーマンスが良い施工会社を選択するために、複数の会社から見積もりを取りましょう。
この際、安易に価格の安さだけで判断するのは適切ではありません。
工事の品質や施工会社の実績、アフターサービスの内容なども総合的に評価する必要があります。
また、大規模修繕工事は長期間にわたるため、施工会社との円滑なコミュニケーションも重要です。
工事内容を見直す
大規模修繕の費用が予算を上回りそうな場合は、建物の調査を行う事で工事内容に優先順位をつける事が可能となります。殆どの建築物は特定建築物定期点検を3年毎に、外壁全面打診等調査を10年毎におこなっている為、劣化の進行度がわかります。
タイル面等の外壁全面打診等調査は外壁タイル面を赤外線カメラを使用した赤外線調査、又は屋上よりロープにて降下して打診等調査を実施するロープアクセス工法により行う事ができます。
これらの方法は仮設足場を必要としない為、仮設費を抑える事が可能となります。
※大規模修繕工事費用の大半は仮設費用となります。
外壁調査の結果、すぐに対応しないといけない様なタイル面の危険を伴う浮きやひび割れといった劣化が確認できた際には当該箇所のみをロープアクセス工法にてピンポイントで補修を行う。
(修繕積立金が足りない場合はこのような最低限の補修をするという選択肢も考えられます)
もしくは全体の補修をロープアクセス工法にて行う事も可能です。
またシーリングの打替え工事もロープアクセス工法で対応できます。
となると仮設足場を組まなくても大規模修繕工事の大半の工事は可能となってきます。
また、鉄部等の外壁塗装と同時に行う付帯工事の範囲を限定したり、使用する塗料や材料を変更したりすることで、ある程度の費用を抑えられます。
ただし、安全性や居住性を損なうような工事の削減は避けなければなりません。
安易なコストダウンは結果的に工事の品質低下につながる恐れがあるため、長期修繕計画に基づいて、優先順位の高い工事を見極めることが重要です。
そのために、建物の調査を行い、補修工事の優先順位をつけるといった事が必要となります。
助成金や補助金を活用する
マンションの大規模修繕では、国や自治体の助成金や補助金を活用できる場合があります。
例えば、耐震改修やバリアフリー化、省エネ設備の導入などに対する補助制度が用意されています。
こうした制度を上手に利用すれば、修繕費の負担を軽減することができるでしょう。
ただし、申請手続きや要件確認など、管理組合の手間が増える点には注意が必要です。また、助成金や補助金の対象となる工事は限定的であるため、過度な期待は禁物です。
あくまで修繕費の一部を補てんする制度として、活用を検討するのが賢明といえます。
助成金や補助金の内容は自治体によって異なるため、活用を検討する場合は事前に都道府県や市町村に確認しておきましょう。
管理会社に丸投げしない
マンションの管理を全て管理会社に任せきりにすると、大規模修繕の費用が高くなる傾向にあります。
管理会社によっては、実際に必要のない工事を提案してくることもあるためです。また、管理会社への紹介料が発生し、修繕費がかさ増しされるケースもあります。
修繕費を抑えるためには、管理組合が主体的に関与していくことが重要です。
長期修繕計画の作成や見直し、施工会社の選定などには積極的に参加していきましょう。
とはいえ、専門的な知識が必要な場面も少なくありません。その際は、信頼できる設計事務所やコンサルタントに相談するのも一つの方法です。
マンション大規模修繕の費用を払えないときの対処法
マンションの大規模修繕は多額の費用がかかるため、資金不足に陥るケースも少なくありません。ここでは、費用を払えないときの対処法について見ていきましょう。
一時金を徴収する
修繕積立金が不足している場合、区分所有者から一時金を徴収する方法があります。一時金とは、修繕積立金とは別に、臨時に集める資金のことです。
各区分所有者の合意が得られれば、一時金を徴収して不足分を補填することができるでしょう。
ただし、一時金の額が高額になると、資金繰りに困る区分所有者も出てくる可能性があります。また、区分所有者から一時金の合意を得るのは容易ではありません。
トラブルに発展する可能性もあるため、一時金の徴収はあくまで緊急的な対応として位置づけ、計画的な積立金の積み増しを併せて検討する必要があります。
不足分を借り入れる
修繕積立金の積み増しを考えているなら、金融機関からの借り入れを検討するのも一つの方法です。
金融機関から借り入れをする場合は、管理組合の総会決議を行う必要があります。
修繕積立金の不足分を早急に用意できるメリットがありますが、借入金には利息が発生する点に注意が必要です。
借入金の返済は、修繕積立金の値上げや管理費の値上げによって行うことになるでしょう。長期的な返済計画を立てて、区分所有者の理解を得ることが重要です。
大規模修繕を延期する
どうしても費用が捻出できない場合は、大規模修繕の延期もやむを得ない選択肢の一つです。一時的に延期をして、その間に不足分を用意することになります。
しかし、安全性に関わる工事を延期するのは絶対に避けなければなりません。
長期修繕計画を見直して、優先順位の高い工事から順次実施していくことが求められます。また、大規模修繕を先送りすることで、将来的な修繕費がさらに膨らむ恐れもあります。
安易な大規模修繕の延期は、結果的に区分所有者の負担増につながる可能性があるため、あくまで最後の手段として検討するようにしましょう。
まとめ
この記事では、マンション大規模修繕の費用相場や工事別の内訳、費用を抑える方法、資金が不足したときの対処法を紹介しました。
大規模修繕は一戸あたり100万円前後の高額な工事ですが、建物の安全性と資産価値を維持するために定期的な実施が不可欠です。
2回目以降の修繕費は初回よりも高くなる傾向にあるため、長期的な視点に立った修繕計画の策定と、計画的な積立金の準備が求められます。
費用を抑えるためには、アフターサービスの活用や施工会社の比較検討、工事内容の見直しなどが有効です。
Takaoプランニングでは、建物のタイル面等の外壁調査において赤外線調査・ドローン調査、ロープ打診調査、ロープでの補修工事のご提案をしています。
これらの方法は仮設足場を組まないで特定建築物定期報告や補修目的の全面打診等調査調査(現地調査から報告書作成)、補修工事までをワンストップで一括して対応可能です。
大規模修繕の検討にあたっては、ぜひ専門家のアドバイスを参考にしてみてください。