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建物点検はなぜ実施する?概要と目的、内容や検査会社選びのポイントを解説

2024.03.26

建物点検はなぜ実施する?概要と目的、内容や検査会社選びのポイントを解説

建物のオーナーや管理者には、建物を建てると国が定める建物点検(12条点検)を受けるよう義務付けられています。
ここでは、建物点検を受ける目的と必要性、対象となる建築物の種類について詳しく解説していきます。

建物点検の点検内容や、検査会社を選ぶ際のポイントもご紹介しますので、検査を依頼する際の参考にしてください。

建物点検(12条点検)とは

建物点検

建築物には法令で定められた定期点検をおこなう義務があり、この点検は建築基準法第12条に基づいていることから、通称、建物点検(12条点検)と呼ばれています。
建物点検とは、建物利用者が事故に巻き込まれるのを未然に防ぐなど、建物の安全性の確保を目的とした制度です。

ここからは、建物点検について詳しく解説していきます。

目的

建物点検(12条点検)は、建物に出入りする不特定多数の利用者が事故に遭い、怪我などしないように安全を確保する目的でおこなわれるものです。

建物のオーナーや管理をする者は、所有する建物を利用する人の命や健康を守る義務があります。
国が定める基準に従って建物の安全を保つことは、建築基準法第1章第1条に示されているとおりです。

建築基準法

第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。

「出典:建築基準法より」

必要性

建物の安全性を保つために点検をおこなうことは建物のオーナーや管理者の義務です。
経年劣化などで設備がもろくなった状態で建物を利用し続けると、思わぬ事故に見舞われる恐れがあります。

しかし、建物を日々点検して維持と修繕をオーナーや管理者自身でおこなうのは難しいでしょう。
不幸な事故を未然に防ぐためには、実施可能な周期を決めておこなう建物点検(12条点検)が有効です。

建物点検(12条点検)をおこなうことは建物の安全性の維持だけでなく、万が一、事故が発生した際に建物のオーナーや管理者が社会的責任を負わないためにも必要です。

調査対象

建物点検(12条点検)の対象となるのは「特定建築物」であり、床面積の合計が200㎡以上ある建物のことです。

特定建築物に該当する建物の例を紹介します。

劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場などは客席の床面積が200㎡以上、3階以上の階、または地階にあるものが対象です。
劇場や映画館、演芸場は、主階が1階にない場合も該当します。
病院、有床診療、養護老人ホーム、ホテルなどは、2階の床面積が300㎡以上、3階以上の階、または地階にあるものが対象です。
博物館、美術館、図書館、体育館、スポーツトレーニング施設などは床面積が2,000㎡以上、3階以上の階にあるものが該当します。
百貨店、飲食店、公衆浴場、展示場などは2階の床面積が500㎡以上、または床面積が3,000㎡以上あるものが対象です。
3階以上の階、または地階にある場合も該当します。

建物点検の実施周期

建物点検

建物点検をおこなう際には、検査項目ごとに実施頻度が定められています。
建築物と敷地の点検実施時期は、初回のみ建物完成時に検査済証を受けてから6年以内です。

2回目以降は6ヵ月~3年の間隔をあけ、特定行政庁が定める時期に建物点検をおこないます。
防火設備、建築設備、昇降機の初回検査時期は、建物完成時に検査済証を受けてから2年以内です。
2回目以降は6ヵ月~1年の間隔をあけ、建築物と敷地の場合と同様に特定行政庁が定める時期に建物点検をおこないます。

国が定める点検時期は「何年以内」など、おおよその期間のみで詳細な実施日程は決められておりません。
詳細な建物点検実施時期については都道府県により違うため、建物が所在する自治体へ確認する必要があります。

建物点検の調査項目

建物点検

建物点検の調査対象項目は、特定建築物、防火設備、建築設備、昇降機の4つに分類されます。

点検は誰でもできるわけではなく、できるのは一級もしくは二級建築士、12条点検実施に関する法定講習を修了後に合格した調査資格保持者です。
建物を所有する企業の従業員に有資格者がいれば、その者が点検を実施できますが、いない場合は外部の資格保持者を有する調査専門の業者へ依頼しましょう。

ここでは点検項目の詳細について解説します。

特定建築物

ここでは特定建築物の検査項目の解説をします。

検査は目視、設計図の確認、巻尺による測定、テストハンマーによる打診の4つの方法でおこないます。

敷地内の地盤の検査は地盤沈下による傾斜や陥没の有無と、配電設備が腐食していないか、排水溝の詰まりや汚れによる悪臭が無いかの確認です。
建物外部の検査は基礎部分と塀や壁については地盤沈下によるひび割れや傾斜を、タイルなどはひび割れの他、剥落の有無も厳しくチェックします。

屋根部分は屋根ふき材のひび割れや反り返り、剥落の有無を確認し、さらに屋上のひび割れが無いかも調査します。
建物内部の検査は内壁のひび割れやズレ、腐食の有無の他、天井の劣化による剥落や仕上げ材の浮きなどについての確認です。

避難施設(非常用侵入口など)の調査は、避難経路の障害物の有無、避難扉の開閉に問題が無いか、排煙設備、スプリンクラーが正常に動作するかの検査もおこないます。

防火設備

防火設備の検査項目の解説です。

検査は目視、触診、設計図の確認、巻尺やストップウォッチによる測定、機器の動作確認、煙感知器や熱感知器などを使って設備の動作確認の6つの調査方法でおこないます。

まずは防火設備全ての周囲に障害物がないことと、機器が正常に動作するかの確認です。
その他に、防火扉や防火シャッターの劣化、腐食、破損個所がないか、感知器や危険防止装置と接続の有無を点検します。

耐火クロススクリーンは、カーテンやレール部分の損傷の確認と駆動装置が正常に動作するかについての検査です。
ドレンチャーその他の水幕を形成する防火設備については、散水ヘッドや排水設備の劣化の有無の確認と、貯水槽にひび割れが無いか、十分な水量があるかなども調べます。

建築設備

建築設備の検査は目視、触診、設計図の確認、巻尺による測定、機器の動作確認、温度計などによる測定の6つの方法でおこないます。

給水設備は受水槽や給水管の、排水設備は汚水槽や排水管の亀裂や腐食による水漏れの有無の確認をします。
換気設備については、全室の空調と換気が基準を満たしているかの検査です。

また給排気口や換気フードの詰まりが無く、換気状態が良いか、排煙ダクト内の防火ダンパー(ルーバー)が正常に動作するかの点検もします。
非常照明設備は停電時に備えて専用の電源が確保されているか確認します。

排煙設備については、排煙口付近の障害物の有無と十分な排気量があるかの調査です。
建築設備全ての機器の動作確認と、設備や機器が適切な位置に設置されているかの検査もおこないます。

昇降機

昇降機の検査は目視、触診、聴診、測定、機器の動作確認の5つの方法でおこないます。

昇降機とはエレベーター、小荷物専用昇降機、エスカレーターのことです。昇降動作のある遊具が設置されている遊戯施設等も該当します。

エレベーターと小荷物専用昇降機の点検は階床選択機が正常に動作するか、巻上げ機やドアの開閉の動作に異常が無いかの確認をおこないます。
エスカレーターの調査は階段部分の踏板が破損していないか、手すりに傷がついていないかの点検です。

遊戯施設等の検査は、遊具への安全装置設置の有無を調査します。

いずれの昇降機も、適切な速度での動作と緊急時にブレーキが正常に働くか確認します。機関室周辺や室内、出入り口の施錠などセキュリティ管理状態のチェックも必要です。

また、転落防止ネットの設置についても確認します。

建物点検を怠ったときの罰則

建物点検

建物点検の実施は、建物のオーナーや管理者に法令で課せられた義務です。

報告を怠った場合は法令違反となり、100万円以下の罰金を支払わなければなりません。
初回点検は別として、2回目以降は点検時期が近付くと検査実施団体より案内書が届くため、忘れることは少ないでしょう。

しかし、郵便事故や転居などで建物点検の案内書が届かない場合もあります。
その場合であっても、点検が免除されるわけではないので注意が必要です。

建物点検を依頼する流れ

建物点検

建物点検を検査業者へ依頼する流れを順を追って説明していきます。
点検の中でも昇降機については他の3項目の検査とは異なり、調査には専門の資格が必要なことと、報告書の提出先が別の窓口になっている場合があります。

また、エレベーターは日常的な点検も必要なため、保守点検もおこなっている業者へ依頼するとよいでしょう。

特定行政庁から検査通知書が届く

点検の時期が近付くと、該当する建築物を管轄する特定行政庁から建物を所有するオーナーや管理者へ検査を促す検査通知書が届きます。

昇降機については特定行政庁ではなく、報告書の提出を委託された一般社団法人から通知書が届く場合があるため注意が必要です。
特定建築物、建築設備、防火設備の点検実施年が同年に重なる場合は、報告書をまとめて提出するよう求める特定行政庁もあります。

報告書が届いたら、内容をよく確認しましょう。

検査会社を探し、必要書類を準備する

建物点検の検査通知書が届いたら、検査を依頼する会社を探します。
検査会社を探すと同時に検査に必要な書類の準備を始めましょう。

特に、初回は必要書類が2回以降より多いため、早めの準備をおすすめします。
検査に必要な書類は検査日の約1週間前までに、依頼する検査会社へ輸送しなければならないからです。

初回と2回目以降の検査時に準備する必要書類を表にまとめました。

必要書類 初回 2回目以降
確認済証
検査済証
前回報告書
建築平面図
設備図面(消防設備等)
面積記載図
消防設備点検報告書

建物点検に必要な書類は、1ヶ所にまとめての保管がおすすめです。
書類を探す手間がかからず、検査会社へスムーズに提出できます。

検査後に報告書が送られてくる

検査日になったら、事前に調査を依頼していた検査会社が該当の建物を訪れて決められた方法で点検をおこないます。

点検が終了すると、報告書は検査をした日から約1週間後に郵送で届きます。
報告書が届いたら建物や設備に問題が無かったか、内容をよく確認しましょう。
問題個所があれば修繕や機器の交換などをおこない、改善を図ってください。

報告書を特定行政庁に提出

検査会社から送られてきた報告書の内容を確認後、問題が無ければ速やかに確認の押印をして返送しましょう。

検査報告書は該当する建物のオーナーや管理者ではなく、調査を行った検査会社が特定行政庁に提出します。
提出期限は検査実施日から1ヵ月以内のため、郵送日数も考慮して報告書は早めに検査会社へ返信するのが望ましいです。

検査した日から3ヵ月経ってしまうと報告書は無効になってしまい、あらためて検査をしなければならなくなります。
再検査をおこなうと費用も時間もかかってしまうため、注意が必要です。

特定行政庁に報告書が提出されると、受付済みの報告書の副本が検査会社へ郵送されてきます。
検査会社へ副本が届くまでの日数は約2ヵ月かかります。

検査会社を選ぶ3つのポイント

建物点検

建物点検を依頼する検査会社は慎重に選ばなければなりません。
触診や打診など検査の方法によってはデリケートな感覚を要するものもあるため、高い技術力をもつ会社への依頼がおすすめです。

選ぶ際に見極めるべきポイント「経験と知見がある」、「信頼できる」、「見積り金額以上に費用が発生しない」の3つについて詳しく解説していきます。

経験と知見がある

建物点検の検査項目はとても細かく、経験が浅い調査員だと建物の状態の不備を見逃してしまう可能性があります。

小さなヒビや劣化状況などを見逃さない、経験豊富な熟練の調査員のいる検査会社を選ぶとよいでしょう。
建物や設備がどのようなものであっても的確な判断を下せる会社であれば、安心して検査を依頼できます。

技術力の高さを見極める基準として、年間200件以上の検査を請け負っている会社が経験と実績の面から考慮してもおすすめです。

信頼できる

検査をおこなうたびに違う会社に依頼するのではなく、同じ会社に継続して依頼できるのがベストです。
いつも同じ会社であれば建物の特徴も熟知しており問題個所の見逃しが少なく、改善のための的確なアドバイスを得られる可能性があります。

建物がある限り継続して検査業務を依頼する必要があるため、途中で廃業の心配がない信頼のおける業者を選びましょう。
従業員の人数が多く、創業から長い年月検査業務を請け負ってきた会社がおすすめです。

見積もり金額以上に費用が発生しない

建物検査を業者に依頼する前に、検査費用の見積りを取りましょう。
検査時に請求される費用のうち、主なものは検査費、報告書作成費、報告書提出代行費です。

報告書を受付センターへ提出する場合は、センター手数料も費用としてかかります。
費用として請求される金額は会社によって違っており、決して安くはないため見積り書での確認がおすすめです。

見積りを取った際には、見積り金額以上の費用が発生しないことを確認してください。

まとめ

建物点検

建物を所有したら、その建物は建築基準法に則って安全に運営していかなければなりません。
常に建物を正常な状態に保つためには定期的な検査とメンテナンスが必要です。
建物点検を依頼する業者は、技術力が高く信用できる会社を選ぶことも大切です。

検査を依頼する会社選びに迷ったらTakaoプランニングへ相談してみましょう。

お見積もりは無料です。

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