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タイルが剥落する理由とは?

2024.03.26

タイルが剥落する理由とは?

タイル剥落による被害者は年々増えており、中には事故に繋がるものもあります。
メンテナンスをしないと予期せぬ事故や事件に巻き込まれるリスクが高くなるため、注意が必要です。

本記事では、どうしてタイルの剥落が起こるのかを詳しく説明した後に、その対策について解説します。

年々外壁タイルの落下事故は増加傾向にある

タイル剥離

年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 平成31年度/令和1年
事故件数 5 16 13 5 7 6 12 14 17 18
被害者件数(うち死亡) 3 9 8 3 2 2 10 10 4(1) 10(1)

特定行政庁より報告を受けた建築物の事故「部材の落下」の項目では、平成22年から平成31年(令和1年)にかけて、徐々に増え続けていることがわかります。
平成22年と平成31年(令和1年)を比較すると、事故件数と被害者数はともに約3倍増加していることを踏まえると、対策や予防が必要です。

また平成30年と平成31年(令和1年)は、1件ずつ死亡事故も起きました。
落下事故の部材としては、「壁タイル」「天井」「看板」「テラス」などさまざまですが、死亡するケースがある点も理解しておきましょう。

外壁タイル剥落は経年劣化により起こる

タイル剥離

外壁タイルに対して、景観管理の一つと認識した結果、「外壁タイルのメンテナンスは不要」と考える方も多いでしょう。

しかし、外壁タイルの落下事故は毎年発生しているうえ、死亡事故も報告されているため、外壁タイルの剥離・落下を防止するためのメンテナンスが必要です。
過去の実例では外壁タイルによる死亡事故で、建物の所有者が損害賠償の責任を負う判決がされており、他人事では済まされない問題です。

外壁タイル剥落が起こる主な理由は大きく分けて2つある

タイル剥離

外壁タイルの剥落が起こる主な原因は、以下の2種類です。

  • 外壁タイルの素材の伸縮量の違い
  • 外壁タイルが浮いた部分への雨水の侵入

それぞれの原因について解説します。

外壁タイルの素材の伸縮量の違い

外壁タイルの剥落が起こる原因として、温度と湿度の影響でタイル層の伸縮が挙げられます。そもそもタイル、接着モルタル、コンクリートの3層で構成された外壁タイルは、同じ温度と湿度でもそれぞれの層が異なる反応を示して、伸縮します。ある程度の耐久性は備わっているものの、外気環境の変化に晒され続けると、徐々にタイルの一部が浮き出てくるような状態となり、剥落につながる仕組みです。

直射日光や台風などに当たり続けると、自然と疲労を蓄積する仕組みを理解しましょう。

外壁タイルが浮いた部分への雨水の侵入

外壁タイルが3層になっており、温度や湿度によってそれぞれの層が異なる伸縮をすると、浮き出る部分が生まれます。
一部分が浮き出ると、その隙間から雨水が侵入し、さらに膨張や収縮の状態を加速させます。

はじめのうちは浮き出ているだけのタイルでも放置すると、徐々に隙間が大きくなり、剥離を引き起こして事故につながるため危険です。
タイルの一部分が浮き出ている様子が目視で確認できたら、早めにメンテナンスをしましょう。

既存タイル外壁の調査や報告義務がある

タイル剥離

既存タイル外壁は、定期的に有資格者から状態を確認してもらう義務が建築基準法によって建物の所有者に課せられています。
状態を調査してもらうだけではなく、調査結果を特定行政庁に報告するまでが義務の範囲です。

具体的には、2〜3年に1回のペースで「目視及び部分打診調査」、10年おきに「全面打診調査」をおこなうように明記されています。
全面打診調査では、マンションや建物に足場を設置する大きな作業になるため、そのタイミングでタイル剥落の対策工事を済ませるのがおすすめです。

特定建築物定期報告制度の改正

国土交通省は、タイル剥落のトラブルを未然に防ぐために以下のペースで外壁タイルの調査をするよう制度を設けました。

3ヶ月〜3年以内に手に届く範囲の打診、10年以内にタイル落下で歩行者に危害を加えるリスクがある部分の全面的な打診が義務付けられています。
令和4年1月18日付で、国土交通省告示282号の一部を改正して、打診以外の調査方法として、無人航空機による赤外線調査も可能となりました。
テストハンマー打診と同等以上の精度を有する調査方法に限るというものです。

比較的大きな建物の場合、無人航空機による赤外線調査導入は、コスト削減が可能と考えられます。

調査が必要となるケース

外壁タイルの調査が必要なケースは、手が届く範囲の打診で異常が見つかったタイミングと外壁改修などから10年以上経った最初の調査のタイミングです。
これらの調査は、すべて外壁タイルが剥落して歩行者などに危害を加えるリスクを未然に防ぐためにおこなわれます。

ただし、当該調査を実施して3年以内に外壁改修・全面打診がおこなわれる場合と、別途歩行者の安全を確保できる対策がある場合は、例外的に調査の対象外となります。
打診方法などの規定は明確化されつつあるものの、タイルが浮き出ている度合いや、全面打診をおこなう明確な判断材料については不透明のままです。

あくまで「歩行者等に危害を加えるリスク」を基準としているため、専門家と相談しながらメンテナンスを進めましょう。

外壁タイルの剥落を防ぐための対策とは

タイル剥離

外壁タイルの剥落を防ぐための対策方法は、以下のとおりです。

  • 赤外線調査
  • ロープ打診調査
  • ドローン調査

それぞれの調査方法について解説します。

赤外線調査

赤外線調査は、平成20年4月1日に改正された建築基準法12条から導入可能となった調査方法です。

赤外線カメラで外壁面を撮影し、タイル(モルタル)と下地の間に空洞(浮き)ができていないか、空気層ができているのであれば熱が内部に伝わりにくくなっていないかといった原理で「浮き」を確認します。
タイル剥落のリスクがあり、タイルが浮いている(ある程度大きな剥離)のであれば表面温度が高温になるため、赤外線調査を用いてリスクを確認できます。

とはいえ、表面温度はその日の気温や直射日光のあたり具合によって正常な状態でも高温表記されるケースもあるため、見極める専門的な経験が必須です。

メリット

赤外線調査のメリットは、主に3つです。

まず、足場や高所作業車などを使用しないため、他の調査方法と比べると最小限の費用でコストを安価に抑えられます。
実際に赤外線調査と従来の調査方法を比較すると、4割ほどのコスト削減が実現しているとの報告もあります。

続いて、地上から撮影をして調査するため安全です。
最後に準備と調査に時間がかからないため、最短1日で終了し、調査員と住居者のどちらの負担も少なく済みます。

デメリット

赤外線調査のデメリットは、おもに2つです。

まず、赤外線調査ができるのは、晴れもしくは晴れ時々曇りの日に限定されるため、完全に曇っていたり、雨の日には調査ができません。
また、タイルの表面の温度差を基準にタイル剥落のリスクを伴うかどうか判断するため、調査方法そのものが人員が直接おこなうものより精度が劣ります。
より詳細な精度が求められる外壁補修が目的であれば、赤外線調査は不向きです。

ロープ打診調査

ロープ打診調査は、調査員が建物の屋上から吊るされて、ロープに繋がった状態で建物の下まで降下する中で、打診棒を叩きながら外壁の状態を確認する調査方法です。
赤外線調査と比べると、実際に人員が建物の状態を触りながら確認するため、調査精度が高く評価されています。

ただし、ロープ打診調査をおこなうためには、マンションや建物の屋上部分に丸環やロープを固定できるコンクリート状の架台や鉄骨が必須です。
固定できる箇所がなければ、ロープ打診調査はできかねるため、まずはマンションや建物の設備を確認したうえで、相談しましょう。

メリット

ロープ打診調査のメリットは、おもに2つです。

まずは、調査員が直接タイルの状態を確認するため、赤外線やドローンなど機械に頼る調査方法よりも精度の高さが優れています。
また、ロープ打診調査の中でも「ロープアクセス工法」を採用すると、足場の設置、高所作業車が必要ないため、コスト削減が期待できます。

デメリット

ロープ打診調査のデメリットは、おもに2つです。

まず、人員が建物の上から降下しながら調査をする方法のため、風や雨が強すぎる天候では作業ができません。

ただし、雨や風が少なければ調査ができるため、ほかの調査方法よりは融通が利きます。
また、「ロープアクセス工法」であっても、実際に建物から降下する調査員のほか、通行人を誘導する監視役など人員確保が必要なため、無人機よりもコストがかかります。

ドローン調査

ドローン調査とは、赤外線カメラを搭載したドローンを建物に向かって飛ばして、可視画像と赤外線画像からタイルの剥落リスクを算出する調査方法です。
人員が建物から降下する必要がなく、ドローンを使用すれば建物の水平面を撮影できるため、ここ数年では急激に利用者が増えています。

外壁タイルの調査としてスタンダードになりつつあるドローン調査ですが、高層ビルなど高さが一定を超えていると足場を組む調査方法しか利用できません。
ドローン調査に対応している建物であるかどうかを確認したうえで、利用を検討しましょう。

メリット

ドローン調査のメリットは、おもに2つです。

まずは、最小限の人員を派遣し、足場や高所作業車なしで調査の作業ができるので、最小限のコストに抑えられます。
また、テストハンマーや打診棒を用いた調査方法は、軽くではあるものの外壁タイルを叩くため、損傷の原因になりますが、ドローン調査はタイルに触れずに調査が済みます。

建物を傷つけることなくスムーズに調査を終えたい場合は、ドローン調査がおすすめです。

デメリット

ドローン調査のデメリットは、おもに2つです。

まずは、市街地では規制やプライバシーもある為、事前の計画段階で多岐にわたる調整が必要であり、実施が不可となるケースもあります。
また、赤外線を活用するため、人員がおこなう調査よりも精度が落ちるリスクが伴います。

外壁補修が目的であれば、赤外線調査同様にドローン調査は不向きです。

タイル補修には主に3つの工法がある

タイル剥離

タイル補修の工法は、以下のとおりです。

  • アンカーピンニングエポキシ樹脂注入工法
  • タイル部分の張り替え工法
  • CPアンカーピン工法

それぞれの工法について解説します。

アンカーピンニングエポキシ樹脂注入工法

アンカーピンニングエポキシ樹脂注入工法は、タイルの浮きの補修工法として一般的な工法となります。
浮きが見られるタイルをアンカーピンとエポキシ樹脂を使って固定する補修工法です。

メリットとして、既存タイルの意匠を生かしつつ、最小限のコストに抑えられる点が挙げられます。
一方で、直貼り下地の場合は、残存離型剤を取り除くことができずに、固定するために使ったエポキシ樹脂の接着効果が制限されてしまう点がデメリットです。

タイル部分の張り替え工法

タイル部分の張り替え工法は、浮き、割れ、剥がれが見られるタイルを張り替える補修工法です。

メリットとして、タイルを剥がす作業を挟むため、下地RCの状態を確認しながら、劣化に応じた適切な補修ができる点が挙げられます。
また、既存タイルの意匠もしっかりと生かすことが可能です。
また、張り替えタイルと既存タイルで意匠が変わるため、似たような色合いやデザインのタイルが見つからなければ、違和感を感じる可能性があります。

CPアンカーピン工法

CPアンカーピン工法は、タイルをアンカーピンで固定して、タイル仕上げ層の浮き部を補修する工法です。

タイル中央部を穿孔し直接タイルを固定していくため、既存タイルの意匠を生かす事が可能となります。
エポキシ樹脂注入工法と比べると工程数が多いため、コストが高くつきます。

まとめ

タイル剥離

タイル剥落を防ぐためには定期点検が必要であり、歩行者等に危害が加わらないようにするためには、調査のタイミングでメンテナンスを済ませるのがおすすめです。
とくに足場を組んで調査をするのであれば、調査とメンテナンスを同時に済ませることで作業工程を最小限に抑えて、コスト削減につながります。

外壁タイルに関する調査やメンテナンスに興味がある方は、Takaoプランニングにご相談ください。

お見積もりは無料です。

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