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外壁全面打診等調査における特定建築物等の維持保全

赤外線浮き

上記の画像は赤外線の温度が高くなっている黒枠で囲っている範囲が
打診でも浮きが確認できている範囲となります。
この様に打診調査での浮き箇所と赤外線での温度が高くなっている箇所(浮きと思われる箇所)
の確認を行う事で整合性を高めながら赤外線の調査を進めさせて頂いております。

従来、外壁タイル面等の定期調査は手の届く範囲の打診、目視で良かったのですが
平成20年4月~は竣工後、もしくは大規模修繕から10年を超えた建物は
落下により歩行者等に危害を加える恐れのある部分については
全面打診等調査が義務付けられました。
※令和4年3月には
定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む) による外壁調査 ガイドライン が施行されました。

これはタイルの剥落事故が起こってしまっている中で、
安全性の確保が徹底されてきたと考えられます。
また建物の維持保全という観念が浸透してきてる中で10年のタイミングでの
外壁面の劣化状況の参考資料にして頂ける重要な調査報告書になるとも捉えられます。

赤外線カメラ

建築物の定期調査業務(全面打診等調査)に携わらせて頂いている中で、
10年を経過した際のタイル面・モルタル面の全面打診等調査を実施させて頂くと
建物ひとつひとつはもちろんの事、各面(東西南北)においても劣化状態は異なってきます。
塩害がある、日射が良くあたる、1日を通して寒暖差がある地域、
国道沿いで大型トラックが走行し軽微な揺れが発生する道路の目の前等、
それらの環境に加え、施工方法によっても10年後、20年後の建物は大きな違いが出てきます。

一般的に大規模修繕工事の実施時期の推奨が約12年と言われておりましたが
国土交通省のガイドラインの見直しが令和3年(令和4年4月スタート)にあり
15年、18年で実施される管理組合様も増えてきているかと思います。
「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の見直しについて 

上記ガイドライン 計画期間の見直しとして
【・現行では 25 年以上としていた既存マンションの長期修繕計画期間を、
新築マンションと同様、2 回の大規模修繕工事を含む 30 年以上に変更】
と記述がありますが、
これは建物のロングライフ化を基準とした長期修繕の計画の見直しと捉えられます。
建て替えありきではなくいかに長く住む為の修繕計画(維持保全の重要性)が大切になってきます。

設備機器以外の建築物関係になりますが
下記が推奨されている修繕のタイミングです(参考)

・鉄部塗装の塗り替え(5~7年)
・屋上防水(12~15年)
・ベランダバルコニー(12~15年)
・外壁 塗装・タイル張り替え等(12~15年)
・シーリング打替え(12~15年)
・廊下や階段の共用部分床防水(12~15年)

まず鉄部の塗装部分の剥がれ等の劣化がでてきやすいです。
そして屋上防水の劣化、シーリング材の劣化が目立ってき、
外壁タイル面の浮きやひび割れ等も経年劣化として発生してきます。

塗装剥がれ

ひび割れ日頃生活をしていて困る程(漏水等)の劣化はこのタイミングでは出てこないと思います。
しかし屋上防水の劣化やシーリング材が瘦せ雨水が侵入し、
躯体劣化がじわじわ進行している可能性はあり
シーリング材の劣化等は10年を経過している建物ではよく見受けられます。

シーリング材

部屋のバルコニーや地上からでは劣化があまり見られなくても、
日射が当たる箇所、雨風がよく当たる外壁面や屋上は劣化の進行が異なります。

屋上防水は仮設足場等は基本的には必要がなく修繕する事が可能ですが
外壁面のタイル補修やシーリング材の打替えは仮設が必要となる事がほとんどです。
修繕にかかる費用として仮設費は大きな割合を占める為、
それらは1棟で同じタイミングでする事がほとんどです。

屋上防水目に見えてわかるほど進行した場合には、屋上防水では修繕では対応が不可能となり
撤去、新設が必要となる可能性もあります。
また鉄部の塗装も剥がれ→発錆→腐食とまで
劣化が進行してしまうと取替えが必要となります。

また設備機器は取り替える事が可能ですが、建物の躯体に関しては
劣化が進行してしまいますと取り替える事はできません。

爆裂 露筋

先に記述した(主に12~15年)修繕のタイミングは建物により変わってくる為
建物全体の劣化状況を3年毎に実施してただいている建築物の定期調査や
弊社で実施させて頂いております外壁タイル等の全面打診等調査の結果を参考に
一概に「何年目に」と決めるのではなく大規模修繕工事の実施時期の見極めをして頂き、
各修繕項目で劣化があきらかに進行し過ぎていない少し早めのタイミングで
撤去、新設をせずに補修、修繕での対応が可能となるように
管理会社様等と修繕工事の計画・実施を行い
資産価値が低下しない為にも維持保全の重要性を考えて頂ければと思います。

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