外壁タイルはく落
神戸・外壁タイルはく落訴訟が和解 施工側、1億1540万円支払い
こちらの記事を以前に見た事があったのですがつい先日、和解したというニュースが目に飛び込んできました。
内容はタイルがはく落し施工側が金額を支払ったそうです。場所は兵庫県神戸市。
こちらの建物ですが2005年~2006年に建てられたそうです。
この時期に建てられたという事は直張りで施工されている可能性が高いと思います。
外壁調査を行っている中でこの時期に建てられているタイル張りの建物は浮きの割合が極端に多い事があります、、、
タイルの直張りは躯体コンクリートに下地モルタルを塗るのではなく、コンクリートに直接タイルを張り付けていきます。
そうする事で工期、コストの削減になりますが、きちんと目荒等の工程を行わないと浮き、剥離の原因になります。
タイルのはく落の事故はあたかもタイルを張っている建物にリスクがあると思われがちですが、
きちんと仕様書通りに施工されている建物ですと築10年以上経っていても
タイルの浮きが全体の1%未満という建物ももちろん多くあります。
ですのでタイル張りの建物が全てリスクがあるといった事ではありません。
タイルのはく落の問題を受けて
2012年改定の「建築工事標準仕様書・同解説JASS19 陶磁器質タイル張り工事(日本建築学会)」
にコンクリート躯体に外壁タイルを直張りする場合は
下地処理で
a,コンクリートの表面は、はく落防止のための清掃および目荒しなどを確実に実施することとし、その方法は特記による。
b,高圧水による下地処理を行う場合には、事前に試験施工を実施して下地処理後の状態を確認する。
c,日常的な品質管理として、施工計画書に基づいて下地処理のプロセス検査を実施する。
d,プロセス検査によって判明した不具合箇所は、施工計画書の処置方法に基づき速やかに手直しする。
と下地処理の際には「清掃および目荒を確実に実施すること」と記載があり、下地処理がいかに重要かがわかる記載があります。
ただしこれらは施工側の工事中の問題で
皆さまが分譲マンションを購入する際に、そもそもタイルに浮きという劣化がある。
大規模修繕工事でタイルの浮きの補修を行う。等をご存知の方がどれくらいおられるのでしょう。
これらの問題はタイルがはく落したりした時に大きな問題となります。
また竣工から10年程経過しタイルが万が一はく落した時はその原因が
「施工不良」であるのか「経年劣化」であるのかの立証はとても困難になります。
またそれが原因で裁判等になると、時間、お金を費やす事になってしまいます。
竣工から3年で手の届く範囲で打診を行う事は建築基準法第12条、特定建築物定期報告で義務付けられておりますが、
地上より手の届く1~2階は浮き等の劣化が少なく、ある特定の階だけ浮きが多いといった事もありえます。
それを未然に防ぐ対策として竣工後2年~5年で数十万円をかけて
外壁全面打診等調査を行う事でタイルはく落等の事故を防ぐ、
また施工不良ではない事の確認をするといった事も無駄ではないと思います。