外壁打診調査とは?対象の確認方法や調査方法を紹介
建物の外壁にひび割れや浮きなどの不具合が起きた際に、どのように対処すれば良いかわからない方は多いのではないでしょうか。
外壁は建物の顔であり、日々の暴風や紫外線などの影響を受けているため、劣化や破損が起こることもあります。
外壁打診調査は、専門家が外壁をハンマーなどで叩いて音を聞きながら、壁の状態を確認する方法であり、外壁の劣化が要因で起きる不慮の事故などを未然に防ぐことができます。
本記事では、外壁調査の概要や調査方法の種類、費用相場などを詳しくご紹介します。
外壁打診調査とは
外壁打診調査とは、建物の外壁に隠れた劣化や破損箇所を発見するために行われる調査方法の一つです。
調査方法にはさまざまな種類が存在しますが、一般的には専門家がハンマーや打診棒などで外壁を叩きながら音を聞き、壁の状態を確認します。
外壁に隠れたトラブルは、見つけにくく放置されがちであり、長期間放置することで修繕費用が高額になってしまう傾向にあります。
外壁打診調査を行うことで、劣化や破損箇所を早期発見し、適切な対策を講じることが可能です。特に、外壁の塗り替えや張り替えを検討している場合には、外壁打診調査を行うことをおすすめします。
外壁打診調査を依頼する際の重要ポイント
外壁打診調査を依頼する際、以下の3つの項目を事前に調べておくことをおすすめします。
- サポート体制の内容
- 適正な価格であるかの確認
- 会社の実績や事例
外壁調査に関する知識が乏しい建物の所有者に対して、手厚いサポートや丁寧な説明の有無は、調査会社を選ぶうえで重要なポイントです。
必要書類の準備・調査の流れ・注意点など、専門の知識が乏しいと理解できないことも多くあるでしょう。そのため、手続きから不安を感じている方は、サポート体制が整った調査会社を選択することをおすすめします。
また、外壁調査に関わる会社のほとんどで、高度な知識や技術を持つ調査員が在籍していると思われますが、調査員の技術力によっては調査の精度にばらつきがあるケースが考えられます。
従って、外壁調査を依頼する前に、会社の実績や事例を確認することで、信頼性の高い調査会社を選択することができるでしょう。
外壁打診調査の義務化について
2008年の「 建設基準法規制の改正」に伴い、竣工・外壁改修などから10年を経てから最初の調査、または10年ごとの定期調査の際に、全面打診などによる調査が義務付けられました。
ただし、全ての建築物が対象ではなく、特定建築物に限られます。
外壁打診調査は、外壁のほとんど全てを叩くことから、調査の精度が高いとされています。調査員がくまなく外壁を確認するため、浮き以外にも不具合を発見することが可能です。
調査対象となる建築物は以下の通りです。
- 落下により歩行者などに危害を加える恐れのある部分
- 目視により異常が認められたもの
- 竣工後・外壁改修後、10年を超えるもの
- 全面打診を実施後、10年を超えるもの
建物の所有者は、以上の項目を確認する必要があります。
外壁打診調査の方法
ここでは、外壁打診調査の方法として、以下の4つを詳しくご紹介します。
- 打診調査
- 赤外線調査
- ドローン調査
- 打診調査と赤外線調査の併用
打診調査
外壁打診調査における打診調査は、建物の外壁を打診棒を使って叩き、その音を聞いて外壁の現状を調査する方法の一つです。
具体的な調査方法は、打診棒によって壁面を叩いた際の反響音や手の感触から浮きを判別する方法が主流とされています。
また、ロープアクセス工法による外壁調査もあり、屋上の丸環や強固なコンクリートの架台に安全なロープを固定し、そのロープを建物の下に吊るして調査員が降下しながら、外壁を打診棒で叩いて外壁調査を行うという手法です。
赤外線調査
赤外線調査とは、打診調査の次に主流な調査方法で、赤外線サーモグラフィーを使用して外壁を撮影することで、外壁タイルなどの浮きを発見する方法です。
外壁タイルは太陽からの日射や外気温などによって暖められることで、その熱は躯体に伝わります。
しかし、外壁タイルなどに浮きの症状が発生して空気層が存在している場合、熱が躯体に伝わらないため、正常な部分と比較して表面温度が高くなる傾向にあります。
そのような温度差がある外壁の状態を、赤外線カメラを使用して撮影することで外壁診断が可能となります。
ドローン調査
ドローン調査とは、その名の通りドローンを飛行させて外壁を赤外線カメラで撮影し、外壁タイルなどの浮きを発見する調査方法です。
このドローンによる赤外線外壁調査は、高所でも精度の高い撮影が可能になるということで、注目を集めています。
ドローンに搭載した赤外線カメラで撮影する調査方法であり、高所作業や足場の設置が不要なことから、従来のゴンドラやロープを使用した調査、足場を設置して行う調査と比較して、安全面や調査期間の短縮化などのメリットがあります。
打診調査と赤外線調査の併用
打診調査と赤外線調査を併用することで、外壁の内部や表面の問題をより正確に把握することができます。
この場合、先に赤外線調査を行い、外壁のタイル浮きなどが疑われる箇所にだけ打診調査をします。そうすることで、より確実に外壁の状態を把握することができます。
また、立地条件などによっては、赤外線調査だけでは正確な判断ができない場合があり、そのときに打診調査と併用することで、具体的な状態が把握しやすくなるでしょう。
外壁全面を打診のみで調査するよりも、赤外線調査と併用した場合の方が、調査にかかる時間の短縮や費用面の節約を行うことができます。
外壁打診調査の流れ
ここでは、一般的な外壁調査の流れをご紹介します。
- 打診調査会社への問い合わせ
- 見積もりの確認
- 契約後調査の開始
- 報告書の作成
打診調査会社への問い合わせ
初めに、所有している建物付近にある外壁打診調査会社を検索しましょう。
その際に、費用や期間などを調べて、ご自身の希望に沿っていない場合は、地域の担当課に直接問い合わせることをおすすめします。
建築指導局などが各都道府県に設置されているため、ご自身が所有している建物の地域に問い合わせ、ご希望に沿った外壁打診調査会社を調べることも、検索する際には有効な手段です。
見積もりの確認
外壁打診調査は、外壁打診調査会社等に依頼することになりますが、業者によって無料見積もりのところもあれば、有料である場合もあるため、事前に費用の有無を確認しておきましょう。
なお、調査費用に関しては、調査方法や建物の規模などにより異なります。そのため、複数の業者に見積もりを取ってもらうことをおすすめします。
その際に、極端に安い費用で調査が可能な場合、安全性を確保できていない恐れがあるため、注意が必要です。
そのため、見積もりの際には費用の安さだけではなく、依頼する業者の特徴や安全面も考えながら選択しましょう。
契約後調査の開始
見積もりを行い、納得のできる内容であれば、契約後に外壁打診調査の開始です。
調査員は、調査範囲内の壁面を打診して、浮き、剥落、欠損、白華現象及び、ひび割れなどの調査を行います。
調査の際に足場を必要とする場合は、設置・調査日・解体、それぞれの日数が必要です。足場を必要としない場合は、最短1日で調査が完了することもあります。
そのため、調査対象である建物の営業時間や利用者がいない時間など、足場に関わる時間を考慮した上で、具体的なスケジュールを立てておくことをおすすめします。
報告書の作成
外壁打診調査の結果は、以下のような内容を含めて報告書として作成します。
- 調査箇所の写真や図面
- 外壁の状態や問題点
- 必要な改修や補修の内容と費用
- 緊急性の高い問題点についてのアドバイス
- 長期的なメンテナンス計画についての提案
外壁打診調査の報告書は、調査箇所や範囲によって内容が異なる場合があります。
調査結果だけではなく改善策や対応方法、メンテナンス計画なども含まれることが多いため、依頼者や管理者が必要に応じて対応を行うことも可能です。
外壁打診調査にかかる費用相場
ここでは、打診調査・赤外線調査・ドローン調査それぞれにかかる費用相場についてご紹介します。
打診調査
打診調査の際にかかる費用相場は、1平米あたり約280円〜700円程度です。
打診調査の場合には、外壁に応じて足場を組む必要があるため、他の方法と比較して費用が高額になる傾向にあります。
ただし、屋上からロープを使用して行う外壁調査方法であれば、足場を組む場合に比べて費用は安く済み、短時間で調査を行うことが可能です。
打診調査の費用は高額になりやすいですが、その分目視による確認や触診を合わせて行えるため、調査の精度を高めることができます。
赤外線調査
赤外線調査の際にかかる費用相場は、1平米あたり約120円〜350円程度です。
打診調査と比較して、赤外線調査の方が費用を抑えられるだけではなく、調査にかかる時間の短縮も可能になります。
赤外線調査で費用対効果が高くなるのは、建物の面積が大きくなる場合です。
赤外線調査では、建物が大きな場合でも調査員が打診で調査を行う方法に比べ、コストがあまり増えないケースが多く、安価な費用で調査を行うことが可能です。
そのため、大規模な外壁調査を行う場合には、費用の面だけ見れば赤外線調査をおすすめします。
ドローン調査
ドローン調査の際にかかる費用相場は、1平米あたり約150円〜450円程度です。
調査方法自体は赤外線調査とほぼ同じであるため、赤外線調査と同様に比較的安価な費用且つ安全性が高い方法であるといえるでしょう。
ドローン調査と赤外線調査で大きく異なる点は、高層部でも精度の高い撮影が可能であるという点です。
ただし、ドローンを飛ばす作業は周囲への配慮が大切であり、調査を行う場所によっては国土交通省に対して飛行許可の申請を必要とする場合があります。
また、悪天候の場合もドローンを飛ばすことができないため、調査日のスケジュールの変更を余儀なくされることもあるでしょう。
まとめ
外壁打診調査とは、建物の外壁に隠れた劣化や破損箇所を発見するための調査方法です。
外壁が要因となる事故を未然に防ぐためにも、外壁・建築物の防災上の性能について、専門知識を持った調査員に定期的に調査を行ってもらう必要があるといえます。
さらに、報告書で指摘された計画的な修繕、維持管理を行うことで、長期的にみて維持保全費用を抑えることにもつながることが期待できます。
「Takaoプランニング株式会社」では、オフィスビル・集合住宅・病院・ホテルなど、さまざまな建物に対しての調査や診断経験があり、外壁タイルやモルタルの打診調査・赤外線調査医において、豊富な実績があります。
外壁の赤外線調査やロープ打診調査など、数多くの案件数のご依頼を頂いていることから、可能な限り低コストで調査を受けることができ、万全の安全対策を徹底して作業にとりかかることで、現在まで無事故で調査を行なっております。
所有されている特定(特殊)建築物定期報告や補修目的の外壁調査は、ぜひTakaoプランニング株式会社にお問い合わせください。