2021年12月【兵庫県】ホテルの外壁調査(ロープアクセス工法・赤外線)
- 外壁赤外線調査
日時 :令和3年12月
建物住所 :兵庫県
調査対象 :タイル面、ALC面
今回実施させて頂いた外壁面の調査はタイル面及びALC面の調査となり
タイル面は打診調査(ロープアクセス工法)及び赤外線調査を
ALC面は目視調査(ロープアクセス工法)を行わさせて頂きました。
今回のALC及びALCに貼っているタイル面の損傷劣化数は少ない結果となり
結果的には良かったのですがALCにタイル貼りによく起こる劣化の事例を下記に紹介させて頂きたいと思います。
ALCの特性としまして空隙率が大きく通気性があり、素材のままでは吸水率が極めて高い材料となります。
ALCパネルに水分が染み込む事で湿潤や乾燥を繰り返す事で亀裂(ひび割れ)が発生します。
また内部側については、染み込んだ水分がアルカリ成分を溶かし、エフロレッセンスを抽出します。
これらがひどくなると補強鉄筋を錆、腐食させて強度の低下へと繋がります。
今回の調査対象建物のタイル面はALC面にタイルを貼っている外壁仕上げとなります。
タイルの亀裂(ひび割れ)や目地の割れから雨水が侵入し、
ALCに水分が滞留する事で上記の一連の劣化が起こり得ます。
(上記はタイル面を撮影した赤外線画像(サーモグラフィー)です(雨水が滞留している事がわかります))
またALCの取り付け構法がロッキング工法の場合、ALCパネルの外壁は
地震や微細な揺れに対して動きを受け流す特性の構造となっております。
その上にタイルを貼る事でALCは揺れを想定している動きに対して、
タイルはその動きに追従できなくなってしまいます。
以下がその例で目地に亀裂が入った事例となります。
これらはALCの動きにタイルの動きが追従できない事で目地やタイルに亀裂が入ります。
(稀にALC目地(シーリング)にタイル目地を合わさずにタイルがまたがって貼っている事もあります)
その結果、亀裂箇所より雨水がALC面に侵入し滞留する事になります。
また補修の際に上記の写真の場合ですが目地モルタルを埋めても再度同じ亀裂が入る事になります。
シーリング等の弾性系にて補修を行い、ALCの動きに可能な限り追従できる様にし
雨水の侵入を防ぐといった事が大前提になるかと考えます。
タイルとALCの特性を踏まえての施工。
施工後の防水や外壁関係の調査、定期的なメンテナンスは
タイル等の剥落防止、建築物の維持保全(ロングライフ化)には欠かせない事と考えます。